公務員から民間企業への転職を考えるとき、 「年収は上がるのか、下がるのか」は避けて通れない論点です。

年収ナビの実データで、公務員の年収水準が民間企業のどのあたりに位置するのかを確認します。

公務員の年収水準

区分 件数 平均年収 中央値
国家公務員(行政職俸給表(一)の職員全体・人事院) - 712万円 -
政令指定都市 20 708万円 705万円
都道府県 47 673万円 671万円
市区町村 1,721 616万円 611万円

おおむね616万〜712万円の範囲です。

民間企業のどこに位置するか

上場・非上場企業3,783社の平均は694万円、中央値は661万円です。

国家公務員の平均712万円を上回る企業は1,391社、全体の36.8%です。 つまり残りの企業は、国家公務員の平均を下回っています。

企業規模別に見ると位置づけがはっきりします。

従業員数 社数 平均年収 国家公務員712万円との差
100人未満 948社 694万円 −18万円
100〜299人 1,006社 657万円 −55万円
300〜999人 1,063社 669万円 −43万円
1,000〜2,999人 515社 751万円 +39万円
3,000〜9,999人 198社 834万円 +122万円
10,000人以上 47社 827万円 +115万円

従業員1,000人が分かれ目です。 100〜999人の企業に移れば平均的には年収が下がり、 1,000人以上であれば上がる、という関係が読み取れます。

100人未満だけが例外的に国家公務員とほぼ同水準ですが、 これはこの区分に持株会社が多く含まれるためです。 有価証券報告書の平均年収は提出会社(単体)の数値なので、 本社機能だけの持株会社は「少人数・高年収」として現れます。 詳しくは従業員数が多い会社ほど年収は高いのかで検証しています。

業種による差

業種でも大きく変わります。国家公務員の712万円と比べて高い業種は限られます。

業種 件数 平均年収 国家公務員(712万円)との差
銀行・金融 125 782万円 +70万円
建設・不動産 283 795万円 +83万円
電機・電子 228 749万円 +37万円
物流・運輸 113 723万円 +11万円
商社・卸売 304 716万円 +4万円
素材・化学 291 704万円 −8万円
機械・設備 212 697万円 −15万円
IT・通信 611 684万円 −28万円
食品・飲料 132 685万円 −27万円
(参考)市区町村 1,721 616万円 −96万円
サービス 544 621万円 −91万円
小売・流通 311 569万円 −143万円

収録数が最も多いIT・通信(611社)の平均は684万円で、 国家公務員とほぼ同水準です。 「IT業界に行けば年収が上がる」とは、業界全体の平均で見る限り言えません。

「年収が上がる転職」の条件

実データから読み取れる条件は、次の2つに集約されます。

  1. 従業員3,000人以上の企業であること(平均833万円)
  2. 金融・建設不動産・電機など、業種平均が高い分野であること

この2つが重なる企業では、公務員の年収を明確に上回る可能性が高くなります。 逆に、中小企業やサービス・小売業への転職では、 年収が下がる可能性のほうが高いというのが実データの示すところです。

数字に表れないもの

年収の比較だけでは判断できない要素があります。

  • 退職金と年金:公務員の退職手当・年金制度は民間企業と設計が異なります。 生涯収入で比較すると、年収だけの比較とは違う結果になり得ます。 途中で自己都合で辞めると退職金は大きく減ります(公務員の退職金の計算)
  • 雇用の安定性:公務員の年収は俸給表・役職・年齢・勤務地でほぼ決まる(国家公務員のモデル給与)のに対し、 民間は248万円から2,295万円まで10倍近い開きがあります。 上振れの可能性と下振れのリスクは表裏一体です
  • 年齢による初期条件:中途採用の提示額は、その企業の平均年収ではなく 経験・年齢・職種で決まります。平均年収の高い企業に転職しても、 最初からその水準になるわけではありません

この記事の数値について

  • 集計対象:年収ナビ収録の5,680件(2026年08月30日時点)
  • 地方公務員の数値は総務省の公表統計から年収に換算した値(公表値からの換算)、国家公務員は人事院が公表する行政職俸給表(一)の平均年間給与(実額)、 企業の数値は有価証券報告書の実測値です
  • 転職後の年収を保証・示唆するものではありません。 実際の提示額は 職種・役職・経験によって決まります
  • 詳細は出典と算出方法および免責事項をご覧ください

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