年収の統計を見るとき、平均値と中央値のどちらを見るかで印象は大きく変わります。
年収ナビが収録している4,315件を34業種に分けて、 平均と中央値がどれだけずれているかを調べました。
差が大きい業種
収録数20件以上の業種で、平均が中央値を上回っている順です。
| 業種 | 件数 | 平均 | 中央値 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 証券・投資 | 36 | 945万円 | 849万円 | +96万円 |
| 銀行・金融 | 131 | 813万円 | 721万円 | +92万円 |
| 保険 | 20 | 908万円 | 826万円 | +82万円 |
| 商社・卸売 | 304 | 715万円 | 671万円 | +44万円 |
| 物流・運輸 | 116 | 721万円 | 680万円 | +41万円 |
| サービス | 556 | 629万円 | 588万円 | +40万円 |
| 製造業その他 | 117 | 622万円 | 585万円 | +37万円 |
| 電機・電子 | 230 | 747万円 | 711万円 | +36万円 |
差が小さい業種
| 業種 | 件数 | 平均 | 中央値 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 政令指定都市 | 20 | 692万円 | 692万円 | 0万円 |
| 国家公務員 | 24 | 691万円 | 692万円 | −1万円 |
| メディア・広告 | 21 | 1,098万円 | 1,100万円 | −2万円 |
差は何を意味するのか
平均が中央値より高いということは、分布が右に裾を引いているということです。 少数の高い値が平均を引き上げている一方、 大多数はそれより低いところに集まっています。
金融系で差が大きい理由
差が大きい上位3業種は、証券・投資、銀行・金融、保険とすべて金融系です。
金融業界には、外資系や専門特化型の高年収企業がある一方で、 地方銀行や信用金庫系など水準の異なる企業も多数存在します。 同じ「業界」のなかに、性質の異なる企業群が混在していることが、 分布を右に引き伸ばしています。
「銀行・金融の平均は813万円」を自分の期待値として使うと、 実態より90万円ほど高く見積もることになります。 半数の企業は721万円以下というのが実際です。
公務員系でずれない理由
国家公務員(−1万円)、政令指定都市(0万円)では、平均と中央値がほぼ一致しています。
給与が給料表にもとづいて決まる制度のため、 組織によって極端に高い・低いという事態が生じにくいからです。 実際、国家公務員24機関はすべて620万〜820万円の範囲に収まっています。
公務員系のデータでは、平均値がそのまま典型的な水準を表します。 これは民間企業のデータにはない性質です。
メディア・広告のマイナスは件数の少なさ
メディア・広告は−2万円とわずかに中央値のほうが高くなっていますが、 これは収録21件と少ないためで、統計的に意味のある差とは言えません。
件数が少ないカテゴリでは、平均と中央値の関係も不安定になります。
どちらを見るべきか
目的によって使い分けが必要です。
| 知りたいこと | 見るべき指標 |
|---|---|
| その業種の「典型的な水準」 | 中央値 |
| その業種全体の「総額の規模感」 | 平均値 |
| 上振れの可能性がどれだけあるか | 平均と中央値の差、および最高値 |
転職先の年収の見当をつけたい場合は、中央値のほうが実感に近くなります。 平均値は、一部の高年収企業に引っ張られた数字だからです。
年収ナビの業種別ページでは、 平均・中央値・最高・最低に加えて、年収の分布をヒストグラムで表示しています。 1つの代表値ではなく、分布の形そのものを見ていただくのが最も確実です。
この分析について
- 集計対象:年収ナビ収録の4,315件(2026年08月30日時点)
- 民間企業の数値は有価証券報告書の記載値ですが、政令指定都市・国家公務員など 公的セクターの数値は、公表統計にもとづく推計値です。 換算方法は出典と算出方法に記載しています
- ここでの中央値は、その業種に属する組織の平均年収を並べたときの中央値です。 個々の組織の内部における従業員の年収分布とは別のものです
- 有価証券報告書には、企業内の年収の中央値や分布は記載されていません。 そのため年収ナビでは、企業ごとの中央値は掲載していません (理由は出典と算出方法に記載)