「大企業のほうが給料が高い」はよく言われますが、 どこから「大企業」なのか、差はどれくらいなのかは曖昧なまま語られがちです。
有価証券報告書から取得した従業員数と平均年収がそろっている3,345社で検証しました。
従業員規模別の平均年収
| 従業員数 | 社数 | 平均年収 | 中央値 |
|---|---|---|---|
| 100人未満 | 231 | 662万円 | 616万円 |
| 100〜299人 | 574 | 638万円 | 616万円 |
| 300〜999人 | 953 | 651万円 | 626万円 |
| 1,000〜2,999人 | 786 | 721万円 | 694万円 |
| 3,000〜9,999人 | 476 | 789万円 | 748万円 |
| 10,000人以上 | 325 | 901万円 | 844万円 |
わかったこと
1,000人が分かれ目
従業員1,000人未満では、規模と年収にほとんど関係がありません。
- 100人未満:662万円
- 100〜299人:638万円
- 300〜999人:651万円
この3区分の差は24万円しかなく、しかも順番も一直線ではありません。 100人未満のほうが100〜299人より高くなっています。
ところが1,000人を超えると、はっきりと上がり始めます。
- 1,000〜2,999人:721万円
- 3,000〜9,999人:789万円
- 10,000人以上:901万円
1,000人未満の平均(約650万円)と1万人以上(901万円)の差は約250万円です。
100人未満が「谷」ではない理由
100人未満の平均662万円が100〜299人の638万円より高いのは、 このカテゴリに持株会社が多く含まれるためと考えられます。
有価証券報告書の平均年収は提出会社(親会社単体)の数値です。 グループを統括する持株会社は、在籍者が経営企画・財務などの本社機能に絞られ、 役員に近い層の比率が高くなります。その結果、少人数で高い平均年収が出ます。
年収ナビでは、従業員30人未満で平均1,000万円以上のレコードに注記を表示しています。 数字自体は有価証券報告書のとおりですが、組織全体の実態を代表していないためです。
中央値で見ても傾向は同じ
すべての区分で平均が中央値を上回っていますが、その差は規模が大きいほど広がります。
- 100人未満:平均662万円/中央値616万円(差46万円)
- 10,000人以上:平均901万円/中央値844万円(差57万円)
大企業のカテゴリほど、一部の突出した高年収企業が平均を押し上げているということです。 それでも中央値だけで比べても、1万人以上(844万円)と1,000人未満(約620万円)で 220万円の差があり、規模による差は本物だと言えます。
公務員と比べると
国家公務員の推計平均年収は691万円です。この水準は、 上の表では従業員1,000〜2,999人の企業(721万円)とほぼ同じです。
- 従業員1,000人未満の上場企業 → 国家公務員のほうが高い
- 従業員3,000人以上の上場企業 → 民間のほうが高い
「公務員と民間、どちらが高いか」の答えは、比較する企業の規模で変わります。
この分析の限界
- 有価証券報告書を提出している企業が対象です。日本の雇用の大半を占める 中小企業(有価証券報告書の提出義務がない企業)は含まれていません
- 単体(親会社)の従業員数と年収であり、連結ベースではありません
- 平均年齢の影響を除いていません。 歴史の長い大企業ほど平均年齢が高く、 そのぶん平均年収も上がります。この分析は年齢を統制していないため、 「規模の効果」と「年齢構成の効果」が混ざっています
- 業種の影響も除いていません。大企業が多い業種と少ない業種があります
したがってこの表は相関を示すものであり、因果を示すものではありません。 「大きい会社に入れば年収が上がる」ことを証明したわけではありません。
データについて
- 集計対象:年収ナビ収録のうち、従業員数と平均年収の両方がそろっている上場・非上場企業3,345社
- 出典:有価証券報告書(EDINET)
- 詳細は出典と算出方法をご覧ください