「教員の給料は高いのか、低いのか」は繰り返し議論になりますが、 比較の相手として持ち出されるのはたいてい「民間の平均給与」という1つの数字です。

民間企業の年収は上下に大きく散らばっているので、 1つの平均値に押しつぶしてしまうと、実際の位置関係が見えなくなります。

この記事では、公立学校教員の平均年収を上場企業3,778社の分布の中に置いて、 「何社がこれを上回るのか」を直接数えます。

教員の数値は総務省「地方公務員給与実態調査」第5表(職種別職員の平均給与額)の全国の公表値です。 年収は「給与月額×12+期末・勤勉手当の年額(実額)」で出しています (データの出典と算出方法)。

結論:中央値より上、上位4分の1より下

区分 平均年収 教員数 上場企業3,778社の中での位置 この額以上の企業数
公立高校教員(全国平均) 722万円 234,789人 下位から64.7% 1,334社
公立小・中学校教員(全国平均) 695万円 605,911人 下位から58.8% 1,556社

小・中学校教員の695万円は、 上場企業3,778社のうち1,556社がこの額以上という位置です。 中央値(661万円)を上回り、上位25%の境目(777万円)には届きません。

校種の差

高校と小・中学校の差は、分布上の位置で 5.9ポイント、 社数にして222社分です。

月額を給料(本給)と手当に分けると次のとおりです。

区分 給料月額 諸手当月額
高校 378,305円 64,363円
小・中学校 364,069円 60,342円

教員は時間外勤務手当が支給されない(かわりに教職調整額が給料に上乗せされる)ため、 一般行政職や警察官・消防士に比べて諸手当の割合が小さいのが特徴です。 年収の差は、主に給料表の格付けと年齢構成から生じています。

なお、総務省の調査は小学校と中学校を分けずに集計しているため、当サイトでも1つの区分にしています。

勤務地による差は、公表値では分けられない

教員の給与にも地域手当があり、勤務地によって0〜20%の差がつきます。 ただし総務省の第5表は全国の合計で、都道府県ごとの教員の平均は公表されていません。 このため当サイトでは都道府県別の教員の数字を載せていません (以前は出典のない推計値を載せていましたが、2026年10月に取り下げました)。

民間との比較で見落とされがちなこと

上場企業3,778社の年収分布は、次のように大きく開いています。

位置 平均年収
下位10% 493万円
下位25% 559万円
中央値 661万円
上位25% 777万円
上位10% 924万円
上位5% 1,054万円
上位1% 1,419万円

民間で上位10%(924万円以上)に届く会社は10社に1社ありますが、 教員の平均がその水準に達することはありません。 上振れの余地は小さいかわりに、下振れも小さいのが教員の年収の特徴です。

なお、ここで比較しているのは上場企業です。 上場企業は日本の企業全体のごく一部で、給与水準は相対的に高い集団です。 未上場の中小企業を含めた民間全体と比べれば、教員の相対的な位置はこれより上がります。

数字を読むときの注意

  • 年収は月額と賞与の公表値からの換算です
  • 在籍者全体の平均です。新規採用の教員はこれよりかなり低く、 管理職(校長・教頭)はこれより高くなります
  • 部活動の指導等は反映されていません。 教員には時間外勤務手当が支給されず、 かわりに教職調整額が一律に支給される仕組みです。 労働時間あたりで見た場合の水準は、この金額から受ける印象と異なります
  • 退職手当・年金は含みません。 生涯収入で比較する場合は別途考慮が必要です
  • 企業側の数値は有価証券報告書の単体の平均年間給与です。連結子会社は含みません

関連する数値を見る