「市役所と県庁はどちらが年収が高いのか」は、受験先を選ぶときによく出る疑問です。
平均値どうしを比べれば答えは簡単に出ますが、それだけでは 「自分が受ける自治体はどうなのか」がわかりません。
この記事では、全国1,721市区町村と47都道府県庁を1件ずつ並べ、 2つの分布がどう重なっているかを見ます。
数値は総務省「地方公共団体別給与等の比較」(令和7年)の 一般行政職の平均給与月額から年収に換算した値(公表値からの換算)です。 換算方法はデータの出典と算出方法に記載しています。
結論:平均では県庁が上。ただし話はそこで終わらない
| 区分 | 件数 | 平均年収 | 中央値 | 最高 | 最低 | 開き |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 都道府県庁 | 47 | 673万円 | 671万円 | 769万円 | 623万円 | 1.23倍 |
| 市区町村 | 1,721 | 616万円 | 611万円 | 770万円 | 484万円 | 1.59倍 |
平均では県庁が市区町村を上回ります。 しかし注目すべきは開きの大きさの違いです。
- 都道府県庁は623万〜769万で1.23倍
- 市区町村は484万〜770万で1.59倍
市区町村のほうがはるかに散らばっています。 全国1,721団体には大都市の市から離島の村まで含まれるため、 「市区町村」というひとくくりの平均には、あまり意味がありません。
市区町村の最高は、県庁のどこよりも高い
市区町村でいちばん高い小平市役所(770万円)は、 47都道府県庁のどこよりも高い水準です (県庁の最高は769万円)。
さらに、県庁の平均(673万円)を上回る市区町村は234団体あります。 全体の13.6%にあたります。
つまり、
- 平均で比べれば県庁のほうが高い
- しかし上位1割強の市区町村は、県庁の平均を超えている
「市役所か県庁か」ではなく、「どの市役所か」が効くということです。
一方で、県庁には下限がある
逆方向も見ておきます。
市区町村の平均(616万円)を下回る県庁は、47庁中1つもありません。 県庁の最低(623万円)でも、市区町村の平均を上回っています。
これが県庁を選ぶことの意味です。上振れは市区町村より小さいものの、 下振れがない。市区町村は選ぶ自治体によって484万円まで下がりえます。
| 上振れ | 下振れ | |
|---|---|---|
| 都道府県庁 | 最高769万円 | 最低623万円(市区町村平均より上) |
| 市区町村 | 最高770万円(県庁最高より上) | 最低484万円 |
差を生んでいるのは地域手当
上位に来るのは、市区町村も都道府県庁も大都市圏の団体です。
地方公務員の給与には地域手当という調整が入り、 民間賃金水準の高い地域ほど支給割合が高くなります(東京23区の20%が上限)。 同じ区分・同じ経験年数でも、勤務地によって年収が変わります。
県庁は都道府県全域を管轄するため、地域手当の水準が県内で均される傾向があります。 市区町村は自治体ごとに支給割合が違うので、そのまま差として出ます。 これが市区町村のほうが散らばりが大きい理由です。
民間の分布に重ねると
当サイトは上場企業3,778社の平均年収を1社ずつ持っているので、 2つの区分を民間の分布に置いて位置を数えられます。
| 区分 | 平均年収 | 上場企業3,778社の中での位置 | この額以上の企業数 |
|---|---|---|---|
| 都道府県庁 | 673万円 | 下位から53.1% | 1,771社 |
| 市区町村 | 616万円 | 下位から38.5% | 2,323社 |
上場企業の中央値は661万円です。 県庁の平均はほぼ中央値の位置、市区町村の平均はそれより下に来ます。
ただしこれは一般行政職の平均どうしの比較である点に注意してください。 上位の市区町村(770万円)は、上場企業の中でも上位の位置に来ます。
受験先を選ぶときにどう使うか
- 区分より勤務地を見る。 市区町村の中だけで286万円の開きがあり、 これは県庁と市区町村の平均差よりはるかに大きい
- 上振れを狙うなら大都市圏の市。 上位の市は県庁のどこよりも高い
- 下振れを避けるなら県庁。 県庁には市区町村平均を下回る団体が1つもない
- 志望自治体の地域手当支給率を確認する。 年収差の大半はここで決まります。 受けたい自治体の年収を自分で調べる方法で 確認手順を説明しています
数字を読むときの注意
- これは公表値からの換算です。 平均給与月額 × 12ヶ月に、同じ調査で公表されている期末・勤勉手当の年額(実額)を加えて換算しています。実際の支給とは差が生じます
- 対象は一般行政職です。 技術職・保育士・消防職・警察職などは含まれません
- 在籍職員全体の平均です。新規採用職員はこれよりかなり低く、管理職はこれより高くなります
- 時間外勤務手当を含んだ平均です。 残業の多い部署の職員は実際の支給額がこれを上回ります
- 退職手当・共済年金は含みません。 生涯収入で比較する場合は別途考慮が必要です
- 指定都市(20市)は市区町村とは別区分で集計しています