「大きい市のほうが給料が高い」というのは、受験先を選ぶときの前提になりがちです。 実際、政令指定都市や中核市は倍率も高くなります。
この記事では、全国の市区町村を規模の区分ごとに5つに分けて、 本当に階層どおりに並ぶのかを確かめます。
数値は総務省「地方公共団体別給与等の比較」(令和7年)の 一般行政職の平均給与月額に、期末・勤勉手当の年額(実額)を加えて 年収に換算した値(公表値からの換算)です。 換算方法はデータの出典と算出方法に記載しています。
中核市の指定は地方自治法にもとづくもので、 データからは判定できないため中核市市長会の 一覧(62市)を使いました。
平均は、きれいに階層どおりに並ぶ
| 区分 | 件数 | 平均年収 | 中央値 | 最高 | 最低 | 開き |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 政令指定都市 | 20 | 708万円 | 705万円 | 771万円 | 640万円 | 131万円 |
| 特別区(東京23区) | 23 | 702万円 | 704万円 | 738万円 | 678万円 | 60万円 |
| 中核市 | 62 | 668万円 | 672万円 | 745万円 | 589万円 | 156万円 |
| それ以外の市 | 706 | 641万円 | 636万円 | 770万円 | 546万円 | 224万円 |
| 町村 | 873 | 592万円 | 591万円 | 742万円 | 484万円 | 258万円 |
平均で見るかぎり、規模の順に並びます。ここまでは予想どおりです。
町村で政令指定都市の平均を上回る団体は5件でした。 最も高い区分と最も低い区分のあいだには、はっきりした境目があります。
ただし、隣り合う区分はかなり重なっている
階層が並ぶのは平均の話で、個々の自治体はそうなっていません。
| 比べ方 | 該当数 |
|---|---|
| それ以外の市706市のうち、中核市の平均を上回る | 160市(23%) |
| 町村873団体のうち、それ以外の市の平均を上回る | 63団体 |
| 中核市62市のうち、政令指定都市の平均を上回る | 6市 |
それ以外の市の5分の1が、中核市の平均を超えています。 最も高いのは小平市役所の770万円で、 これは政令指定都市の最高771万円に迫る水準です。
町村でも最も高いのは奥多摩町役場の742万円で、 中核市の平均668万円を上回ります。
「規模の大きい自治体を受けたほうが年収が高い」は、平均としては正しくても、 個別の選択の指針としては粗すぎます。
規模が小さい区分ほど、ばらつきが大きい
もうひとつ、表からはっきり読めることがあります。開きの大きさです。
| 区分 | 開き |
|---|---|
| 特別区 | 60万円 |
| 政令指定都市 | 131万円 |
| 中核市 | 156万円 |
| それ以外の市 | 224万円 |
| 町村 | 258万円 |
特別区が最も小さく、町村が最も大きい。
特別区は23区が共同で職員を採用し、給与も特別区人事委員会の勧告で決まるため、 区による差がほとんど出ません(特別区の記事)。
一方、町村は数が多いうえに、都市部に隣接する町から離島の村まで条件が幅広く、 地域手当の支給率も0%から20%まで開きます。 同じ「町村」でも中身がまったく違います。
規模の小さい区分を受けるときほど、区分の平均ではなく個別の自治体を見る必要があります。
受験先を選ぶときにどう使うか
規模を絞り込みの条件に使うのは、初手としては合理的です。 ただし、そこで止めると160市を見落とします。
- まず自分が受ける県の一覧で、県内の順位を見る
- 次に地域手当の率を確認する。これが差の最大の要因です
- 最後に規模を見る。通勤圏や仕事の内容の条件として
順番が逆になっていると、条件のいい自治体を最初の絞り込みで落とします。