「入りやすい薬学部は、卒業や国家試験が厳しい」とよく言われます。 これを感覚ではなく数字で確かめるため、同じ学年の、入試の数字と6年後の結果を並べました。

使ったのは文部科学省の2つの調査です。

  • 「薬学部における修学状況等」2019年度調査:2019年度入試の志願者・受験者・合格者・入学者、実質倍率、定員充足率
  • 「薬学部の6年制課程における退学状況等」2025年度調査:2019年度に入学した人のうち、2025年5月までに国家試験に合格した割合

両方がそろう69学部が対象です(6年制と4年制を一括で募集している国立大学などは、6年制だけの入試の数字がないので入りません)。

実質倍率と、6年後に国家試験に合格した割合

2019年度入試の実質倍率 学部数 6年で国試に合格した割合(中央値)
1.5倍未満 18 39.0%
1.5〜2倍未満 10 55.3%
2〜3倍未満 14 62.0%
3倍以上 27 71.7%

実質倍率は「受験者÷合格者」です。1.5倍未満は、受験した人の3分の2以上が合格している入試です。

倍率が上がるほど、6年後に合格した割合の中央値も上がります。 1.5倍未満の学部(18学部)は39.0%、3倍以上の学部(27学部)は71.7%。 学部ごとの倍率と合格した割合の相関係数は0.66で、かなりはっきりした関係です。

定員を満たしていたかどうか

2019年度の定員充足率 学部数 6年で国試に合格した割合(中央値)
80%未満 15 39.4%
80〜100%未満 15 48.5%
100%以上 39 69.8%

定員充足率は「入学者÷入学定員」です。2019年度の入学者が定員の80%に届かなかった学部(15学部)は、 6年後に国家試験に合格した割合の中央値が39.4%でした。定員を満たしていた学部(39学部)は69.8%です。

この数字から言えること・言えないこと

言えること: 学部単位で見ると、入試の倍率が低い・定員を満たしていない学部ほど、入学した人のうち6年後に薬剤師国家試験に合格した割合は低い傾向があります。

言えないこと:

  • 個人の結果は決まりません。 倍率の低い学部でも合格した人は大勢いますし、同じ倍率の帯でも学部ごとの差は大きくあります
  • 倍率が原因とは限りません。 入学時の学力のほか、学部の教育や進級の基準、学生の生活環境など、多くの要素が重なった結果です
  • 入試の方式は学部ごとに違います。 推薦・総合型選抜の比率が高い学部では、一般選抜の倍率とは意味が変わります

学部を選ぶときは、倍率だけでなく、その学部の入学者のうち国家試験に合格した割合を直接見るのが確実です。 薬学部の一覧では、2019年度入学者の合格した割合・卒業した割合・退学等の割合と、2025年度入試の倍率を並べて比べられます。

数字を読むときの注意

  • 合格した割合は2025年5月1日時点です。留年した人がこの後に合格すると上がります
  • 2019年度の入試の数字は、文科省の2019年度調査の表の値です(実質倍率・充足率も表のまま)
  • 学部名は今の名前にそろえています(大阪薬科大学→大阪医科薬科大学、兵庫医療大学→兵庫医科大学、昭和大学→昭和医科大学、九州保健福祉大学→九州医療科学大学)

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