職種別の年収ランキングでは職種を一覧で並べましたが、 「その水準が民間企業と比べてどうなのか」までは踏み込んでいませんでした。

この記事では、収録している職種を上場企業3,778社の分布に重ねて、 それぞれが何番目の位置にあたるのかを数えます。

数値はすべて公表値からの年収換算です。

  • 「地方公務員(…)」・警察官・消防士・公立学校教員:総務省「地方公務員給与実態調査」第5表
  • 国立大学の教授・准教授:各国立大学法人「役職員の報酬・給与等について」の職位別の表
  • それ以外:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(職種)第1表(雇われて働く人・男女計)

換算方法はデータの出典と算出方法に記載しています。

上位:上場企業の上位層と並ぶ職種

職種 平均年収 上場企業3,778社の中での位置 この額以上の企業数
地方公務員(医師・歯科医師職) 1,621万円 下位から99.4% 21社
医師(勤務医・全国平均) 1,338万円 下位から98.8% 46社
歯科医師(勤務) 1,136万円 下位から96.6% 127社
国立大学法人教員(教授) 1,083万円 下位から95.7% 164社
公認会計士・税理士 856万円 下位から85.0% 565社
法務従事者(弁護士・弁理士・司法書士など) 765万円 下位から73.1% 1,018社

勤務医の1,338万円は上位1.2%で、 この額以上を出している上場企業は46社です。 医師・歯科医師は、上場企業の最上位層と同じ土俵にいます。

法務従事者(弁護士・弁理士・司法書士など)は765万円です。 「弁護士は高収入」という印象より低く見えるのは、 この統計が雇われて働く人だけを対象にしており、事務所を経営する弁護士を含まないこと、 司法書士など弁護士以外の法務職も同じ区分に入っていることによります。

下位:多くの上場企業が上回る職種

職種 平均年収 上場企業3,778社の中での位置 この額以上の企業数
薬剤師(勤務薬剤師) 599万円 下位から34.1% 2,489社
地方公務員(福祉職) 591万円 下位から32.1% 2,565社
診療放射線技師 550万円 下位から22.3% 2,934社
看護師(全国平均) 520万円 下位から15.2% 3,203社
臨床検査技師 504万円 下位から12.1% 3,320社
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士 444万円 下位から4.7% 3,599社
栄養士(管理栄養士を含む) 394万円 下位から1.3% 3,728社

栄養士の394万円以上を出している上場企業は3,728社、 全体の98.7%にあたります。 勤務医との差は3倍を超えます。どちらも国家資格を必要とする職種でありながら、この差があります。

公務員系は幅が狭く、民間の資格職は大きく開く

収録している職種を2つのグループに分けると、性質の違いがはっきりします。

グループ 職種数 平均 幅
公務員系(地方公務員・警察消防・教員・国立大学教員) 13 791万円 591万〜1,621万円
民間の資格職(専門職・医療) 10 711万円 394万〜1,338万円

公務員系の上端(1,621万円)は自治体病院の医師・歯科医師職で、 医師確保のための手当が厚い制度上の例外です。 それ以外の公務員系の職種は、給料表にもとづく制度なので上にも下にも極端な値が出にくくなっています。

民間の資格職は394万円から1,338万円まで 3.40倍に開きます。 同じ「資格を取って働く」でも、報酬の決まり方がまったく違います。

  • 公務員系は制度が上限も下限も決めている
  • 民間資格職は市場と事務所・病院の収益構造が決めている

分位ごとの職種数

上場企業の分布のどこに何職種が入るかを数えました。

上場企業内の位置 職種の数
上位10% 4
上位10〜25% 3
中央値〜上位25% 5
下位25〜50% 6
下位25% 5

上場企業の中央値は661万円です。 ただしこれは上場企業との比較であり、 上場企業は日本の企業のごく一部で給与水準は相対的に高い集団です。

資格の難易度と年収は対応していない

上の表を見て気づくのは、資格取得の難しさと年収が一致していないことです。 臨床検査技師・理学療法士・管理栄養士は、いずれも数年の専門教育と国家試験を要しますが、 上場企業の分布では下位の側に位置します。

これは資格の価値の問題ではなく、 診療報酬という公定価格のもとで働く職種は賃金の上限が枠に規定される という構造の問題です。 詳しくは医療職の年収は民間のどこかで検証しています。

数字を読むときの注意

  • 年収は月給と賞与の公表値からの換算です
  • 賃金構造基本統計調査は雇われて働く人の統計です。開業医・事務所経営者は含みません
  • 在籍者全体の平均です。若手はこれよりかなり低く、経験年数の長い層は高くなります
  • 勤務先による差が大きい職種があります。 特に医師・法務職は勤務先の規模と地域で大きく変わります
  • 上場企業に限った比較です。 未上場企業を含めた民間全体の水準はこれより低くなります
  • 企業側の数値は有価証券報告書の単体の平均年間給与です

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